研究紹介

  • [研究概要]
    本研究室ではナノテクノロジーやマイクロシステム技術を基盤とし、IT、医療、エネルギー、環境やナノサイエンスのための微小機械、マイクロ・ナノシステムの開発を行っています。また、極限の感度を目指した極限センサを開発し、従来には困難であった新しい応用を開拓しています。
    近年、モノがインターネットを介してネットワークやビッグデータにつながり(IoT: Internet of Things)、高齢化や環境など世界規模の問題に貢献しようとする機運が高まっています。この中で、モノにおける情報を取得するための高感度・多機能センサは、次世代の重要な技術であり、研究室でもこれらに向けたセンサ技術に積極的に取り組んでいます。
    また、MEMSs(Microelectromechanical systems)やNEMSs(Nanoelectromechancal systems)は、従来の半導体技術に新しい付加価値を付与した小型のシステムであり、当研究室はこれらの加工技術とともに、新しいMENS/NEMSの開発に取り組んでいます。
  • [内容紹介]
    • 細胞の熱計測プローブの開発

      • 高感度の熱型センサを開発し、褐色脂肪細胞や各種バイオ試料の熱計測への応用を進めている。 褐色脂肪細胞は、脂肪を熱に変換する細胞であり、年齢とともにその数が減少し、それが成人病と関係しているかも知れないことが知られている。 その熱産生にはまだ不明な点も多く、個々の細胞の熱産生がそのバイオロジーの理解に重要である。研究室では、1細胞の熱産生の振動型熱センサ、PN接合型センサなどを新たに開発し、1細胞の熱計測への応用を進めている。


    • ヘルスケア・マイクロセンサ
      • 体内の化学成分を分析し、日常の生活習慣病などの予測を行うための種々の小型ヘルスケア装置を開発してる。 このための各種高感度・高機能センサ(ナノメカニカルセンサ、赤外分光センサ、熱量センサ)を開発している。 ナノメカニカルセンサでは、ターゲット分子がナノメカニカル構造に吸着することで発生する応力や質量変化を検知します。 また、赤外分光センサでは、分子の固有振動を同じ周波数の赤外が吸収されるのを分光学的に検出し、熱量センサでは、ターゲット分子の酵素反応熱を検出して分子を同定します。 開発したセンサをシステム化し、実際の人体計測で実証し実用化することを目指しています。


    • 磁気共鳴力顕微鏡(MRFM)の開発

      • 磁気共鳴イメージングの空間分解能のナノメートルまで小型化し、細胞などの3次元イメージングや、半導体の微小欠陥などを計測するための高感度センサと計測システムの開発を進めている。 センサとしては、磁性体を振動子の先端に形成した高感度の磁気力センサを開発し、磁性体が作り出す磁場と外部交流磁場によるスピンフリップをこの磁気力センサで検出する。ナノメートルの分解能でスピンの濃度分布を測定できる。


    • 小型赤外分光高度計

      • 工場、化学プラントなど、人間が作業する危険な場所で、ガス、ならびに温暖化ガスの放出をモニターするための分散型環境モニタリングシステムの研究を行っている。 このために必用な1cm角程度の大きさのフーリエ変換型の分光器や赤外線のリニアアレイセンサを開発している。小型化することで、たくさんのセンサを環境に配置し、環境モニタリングに応用できる。


    • RF振動子およびナノメカニカルRF素子

      • 電子機器においては、クロック信号を発生するタイミング素子が広く用いられている。一般には水晶の振動子が用いられているが、 近年のモバイル端末やIoT機器への応用では、より小型のタイミングデバイスが必要とされている。 このため、高いQ値および低い機械抵抗をもつSiのRF振動子を開発し、高い温度安定性をもつ発振子の実現に向けた研究を進めている。


    • 質量分析AFMプローブ・圧電薄膜アクチュエータ

      • 原子間力顕微鏡(AFM)で表面を原子分解能で観察するとともに、分子を拾い飛行時間型質量分析器に飛ばして質量分析するためのAFM用のプローブを開発した。 プローブで原子・分子をハンドリングし、電界放出電極まで移送するための、静電式、圧電式薄膜アクチュエータについての研究も行った。


    • ナノ振動子のナノメカニクス
      • ナノ構造体からなるナノ振動子の応用技術とともにそのナノメカニクスの研究を進めている。 振動子は、振動エネルギーを蓄積することで、外部からのわずかなエネルギーをため込み、高感度に外部との相互作用を増幅することで高感度に力、質量、熱、などを検出する。 しかし、熱によるわずかな熱機械振動があり、これがセンサとしての分解能を決めている。熱ノイズは共振が鋭い(Q値が高い)ほど大きくなり、高感度化できる。 一方、ナノメカニクスにおいては、その表面の欠陥が、振動エネルギーの損失をもたらす。研究室では、このQ値や材料、表面の欠陥などに関する基礎研究を進めている。 また、ナノ構造に強くみられる現象として、機械的な非線形性が挙げられる。振幅を大きくするにしたがって共振周波数が変化する。 バネが柔らかくなるソフトスプリング効果とバネが硬くなるハードスプリング効果の両方が見られ、それは材料や表面状態などに依存する。この非線形を積極的に利用することで、機械振動子における確率共鳴現象を起こしたり、振動子を機械的に強く結合し、周波数変換したりすることが可能になる。 一方、Q値自体も振幅によって変化する非線形ダンピング現象がナノ構造によって観測されている。


    • ナノ材料開発

      • 将来のセンサやマイクロ・ナノシステムに応用するための各種ナノ材料、および気相化学堆積法(CVD)などの成膜装置の開発を行っています。 カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンの選択成長、金属とカーボンナノチューブ(CNT: Carbon nanotube)の複合材料、ナノダイヤモンドなどを開発してマイク・鴻Vステムへの応用を進めています。 これまでに、Siの先端にカーボンナノチューブを選択的に成長する技術や、電気メッキで金属CNTの複合材料を形成する技術などを開発しています。 また、各種2次元材料の成長技術の開発も行っています。


    • マイクロ熱電発電
      • 多くの機器からは、そのエネルギーの大半を熱として放出しており、もし、熱エネルギーの一部でも回収して電気エネルギーに変換できると膨大なエネルギーの節約につながる。 また、人の健康モニタリングのためのボディエリアネットワークに必要な小型で高効率な熱電発電が必要とされてる。 研究室では、加熱した電極から熱電子が出ることを利用した熱電子放出を利用したマイクロ熱電子発電を研究している。 電子を放出するエミッタ電極と受け取るコレクタ電極間のギャップをマイクロメートル程度と小さくすることで発電効率を高める研究を進めている。 また、ボディエリアネットワークに用いる小型で高効率、フレキシブルな熱電発電の研究を行っている。このための熱電発電材料の堆積技術の研究も進めている。



      • ナノテクノロジー、ナノサイエンスにおける重要なツールであるさまざまな走査型顕微鏡用のプローブを開発しています。
      • 近接場光プローブは光をナノスケールに局在させ、高分解能で試料を観察するために開発しました。
      • 4探針プローブは、4つの探針からなり、静電アクチュエータで個々の探針を動かし、表面やナノ材料の導電性を評価できます。
      • 耐摩耗性に優れたダイヤモンドプローブアレイはナノリソグラフィーのための道具として用いることができます。



      • ナノメートルのサイズにまで小型化した高感度のシリコン振動子。熱処理によりボロンの薄い層を表面に形成し、ピエゾ抵抗層を形成しました。振動はその抵抗の変化から検出します。小型化により熱機械振動の大きさを低減し、高感度な力、質量センサとして応用できます。



      • 微小な振動子を用いて実際に微小な質量が計測できることを世界で初めて実証しました。50nmの厚さのシリコン振動子にカーボンナノチューブのバンドルを乗せ、共振周・g数変化からその質量を測定し、さらに高圧水素にさらして水素の吸着量を測定することに成功しました。この振動子の質量分解能はアトグラム(10-18g)であることを実験的に示しました。バクテリアの質量が10-15gですのでさまざまなバイオ・化学センサとして応用が期待されます。



      • 振動型質量センサを集積化した例です。温度変化をモニタして補償する参照用センサと実際の質量を計測するセンサの2つからなります。静電駆動と容量検出用の電極が形成され作りこまれています。



      • 走査型プローブ顕微鏡のアレイを利用した高密度記録システムを開発しています。ナノスケールの記録・読み出しができる複数のプローブを並列に動作させ、トタールとしての記録・読み出しを高速におこないます。 このシステムで、記録位置を精密に位置決めする高精度のXYZステージは重要な役割を果たします。これまでに、PZTを加工して精密・ネXYZステージを試作しました。



      • 走査型プローブ顕微鏡のアレイを利用した高密度記録システムに用いるマルチプローブを試作しました。また、導電性ポリマーを用いて導電性変化によりリライタブル記録が出来ることを示しました。



      • 将来のマスクレスの高速リソグラフィーのための電子源アレイを試作しています。電子源アレイは、ゲート付エミッタと3枚の電極で構成される電界レンズから構成され・Aエミッタから放出された低エネルギー電子線を収束できる構造を持ちます。個々の電子源にカーボンナノチューブを成長する技術の開発に取り組んでいます。


(連絡先)東北大学 大学院工学研究科 機械機能創成専攻 小野研究室 
〒980-8579 仙台市青葉区荒巻字青葉6-6-01 機械系2号館4階 (居室)434,438,439号室, (教授室) 437号室
Tel: 022-795-5806 (教授室)/022-795-5810 (居室)/ Fax: 022-795-5808