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研究概要

    本研究室ではナノテクノロジーやマイクロシステム技術を基盤とし、IT、医療、エネルギー、環境やナノサイエンスのための微小機械、マイクロ・ナノシステムの開発を行っています。また、極限の感度を目指した極限センサを開発し、従来には困難であった新しい応用を開拓しています。
    近年、モノがインターネットを介してネットワークやビッグデータにつながり(IoT: Internet of Things)、高齢化や環境など世界規模の問題に貢献しようとする機運が高まっています。この中で、モノにおける情報を取得するための高感度・多機能センサは、次世代の重要な技術であり、研究室でもこれらに向けたセンサ技術に積極的に取り組んでいます。
    また、MEMSs(Microelectromechanical systems)やNEMSs(Nanoelectromechancal systems)は、従来の半導体技術に新しい付加価値を付与した小型のシステムであり、当研究室はこれらの加工技術とともに、新しいMENS/NEMSの開発に取り組んでいます。


    研究の概要

内容紹介

具体的な研究テーマ(例)

  • アルミニウムドープド酸化亜鉛とその応用
  • 原子層堆積法によるアルミニウムドープド酸化亜鉛の作製とマイクロ・ナノデバイスへの応用について研究した。原子層堆積法と犠牲シリコン構造を組み合わせた方法を提案し、超高アスペクト比構造を実現した。そのここでは、4種類のマイクロ・ナノデバイスの開発例として,(b)中空流体チャンネル (c)光変調器 (d) 縦型ナノメカニカル容量共振器を提案した。

  • 熱電発電の材料合成、デバイス作製から応用実証
  • 熱電発電とその応用について研究している。熱電材料は、一般的な3電極システムを使って合成しており,熱電発電機は、精密に組み立てて製作さいた。熱電発電機は、電卓の電源として、また時計の電源として使用することができることを実演実証した。

  • 自己発電型ワイヤレスセンシングシステム用熱電発電機
  • 廃熱を利用した自己発電型ワイヤレスセンシングシステムの開発した。フレキシブルな熱電発電機であり,例えば身近にある電気ポットからの排熱を電気に変換することを実証した。収穫されたエネルギーは、DC-DCコンバーターによって利用可能となり、その後、充電式バッテリーに蓄えられ、低消費電力で電子機器に電力を供給することができる。この成果は,特にワイヤレスで自己発電するIoTセンシングシステムを使用する分野において、熱廃棄物を使用可能な電気に変換する未来型の柔軟な熱電発電機の新しい機会をもたらすものである。

  • マイクロ熱電発電機用マイクロヒートシンク
  • 本研究では、マイクロ熱電発電機の性能を向上させるために、金属支援化学エッチングによって形成されたシリコンナノワイヤをベースにしたマイクロヒートシンクを実証し、熱放散を強化する工夫をした。マイクロヒートシンクを介した熱放散は、表面と体積の比を大きくすることで強化される。マイクロヒートシンクの効果は、マイクロヒートシンクを採用しない場合と比較して8.3倍となった。同じ評価条件下で、マイクロヒートシンクを採用したマイクロ熱電発電機の最大出力は93μW、採用しないマイクロ熱電発電機の最大出力は18.5μWであることが確認された。

  • FeGa/PZTカンチレバーの磁歪を利用した磁気センサー
  • 鉄ガリウム(FeGa)薄膜をチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電材料カンチレバー上に成膜した自己検知型磁気センサを開発した。
    このFeGa/PZTカンチレバーは、直角方向の静的DC磁場に対して、5.47Hz/mTの感度で磁場方向に対して敏感であることがわかった。
    また、磁力にも敏感であることが結論付けられ、磁力に対する感度は、1.77Hz/mTの値であった。どちらの感度も、共振周波数シフトと磁場のグラフの傾きをその共振周波数で割った値から算出される。
    アラン分散法の最小検出磁界は、3.66μTに相当する0.02Hzの周波数ノイズで決定され、この最小検出磁界は、Qファクターの高い細長いカンチレバーを相補的な材料で設計し、構造変更により熱ノイズを低減することで改善することができる。
    この磁歪を利用した磁気センサーは、直接磁場測定やマイクロNMR、マイクロESRなどの磁気共鳴装置への応用が可能である。
    Comprehensive study of magnetostriction-based MEMS magnetic sensor of a FeGa/PZT cantilever, Sensors and Actuators A 331, (2021) 112985.

  • シリコンxポリマーの薄膜内部応力検知型ガスセンサー
  • 揮発性有機化合物(VOC)を低消費電力で検出するために、小型のシリコン+ポリマーの薄膜内部応力検知型ガスセンサーを開発している。
    ピエゾ抵抗素子を用いたセンサーは、分子ごとに異なる応答速度を示すことで識別できる。
    表面濃度を変化させて拡散モデルを構築し、センサーの応答を定量的に捉えることができるようになった。
    Miniature piezoresistive sensor for detecting volatile organic components, Sensors and Actuators, B:Chemical 333,(2021) 129524.

  • 磁歪薄膜の電解めっきとマイクロプロセス
  • Tb,Dy,Feを含む水溶液による電解めっきプロセスを開発。
    固体材料の磁歪よりも大きなエネルギー密度を実現。
    小型でありながら,大きな力を発生できる。

  • 温度変化で発電する発電システム(常温発電)
  • 温度差だけでなく温度変化も発電に利用する。
    蓄電材と放熱機構により,温度変化を温度差に変換する。

  • グラフェンナノ構造を用いたスーパーキャパシタ
  • 電気化学反応を利用した電気エネルギーの蓄電と放電を利用する。
    エナジーハーベスタのエネルギーを蓄電したり,小型で有りながら大容量を蓄電する。
    高密度ナノ構造(グラフェンナノ構造)により表面積を増大させ,蓄電容量を向上させた。

  • グラフェン−Ni複合膜

  • ナノ微粒子による複合熱電膜
  • 電解めっきによる膜の形成(基板上での還元反応)
    液中に微粒子を分散させナノ微粒子を含んだ膜を形成
    熱伝導を低下させ熱電膜としての性能を向上
    結晶中の微粒子が熱を伝えるフォノンを散乱し,熱伝導率が低下する。

  • VOxサーミスタを用いたバイオセンサ応用
  • VO2膜の抵抗が温度変化によって大きく変化する。
    VO2膜をスパッタやゾルゲル法で成膜し,不純物を添加することにより高感度かを図った。
    検体が流れる流路中に酵素を固定した熱量センサを用いて,従来は測定が困難だった生体物資(グルコース:血糖成分)の検出に成功した。

  • 細胞の熱計測プローブの開発
  • 高感度の熱型センサを開発し、褐色脂肪細胞や各種バイオ試料の熱計測への応用を進めている。 褐色脂肪細胞は、脂肪を熱に変換する細胞であり、年齢とともにその数が減少し、それが成人病と関係しているかも知れないことが知られている。 その熱産生にはまだ不明な点も多く、個々の細胞の熱産生がそのバイオロジーの理解に重要である。 研究室では、1細胞の熱産生の振動型熱センサ、PN接合型センサなどを新たに開発し、1細胞の熱計測への応用を進めている。
    振動型の高感度熱センサ(左上)とその熱分解能評価(右上) 単一の褐色脂肪細胞の計測の様子(左下)とその計測結果(右下)
    振動型熱センサを真空中に配置し、マイクロチャンネル中の細胞の熱をSiの梁を通して振動子に伝達する。 神経伝達物質による刺激などで、熱産生が観測される。

  • 磁気共鳴力顕微鏡(MRFM)の開発

  • 磁気共鳴イメージングの空間分解能のナノメートルまで小型化し、細胞などの3次元イメージングや、半導体の微小欠陥などを計測するための高感度センサと計測システムの開発を進めている。 センサとしては、磁性体を振動子の先端に形成した高感度の磁気力センサを開発し、磁性体が作り出す磁場と外部交流磁場によるスピンフリップをこの磁気力センサで検出する。ナノメートルの分解能でスピンの濃度分布を測定できる。

  • ナノピエゾ抵抗センサ

  • ナノメートルのサイズにまで小型化した高感度のシリコン振動子。熱処理によりボロンの薄い層を表面に形成し、ピエゾ抵抗層を形成しました。振動はその抵抗の変化から検出します。小型化により熱機械振動の大きさを低減し、高感度な力、質量センサとして応用できます。

  • シリコン振動子を用いた微小質量計測

  • 微小な振動子を用いて実際に微小な質量が計測できることを世界で初めて実証しました。50nmの厚さのシリコン振動子にカーボンナノチューブのバンドルを乗せ、共振周・g数変化からその質量を測定し、さらに高圧水素にさらして水素の吸着量を測定することに成功しました。この振動子の質量分解能はアトグラム(10-18g)であることを実験的に示しました。バクテリアの質量が10-15gですのでさまざまなバイオ・化学センサとして応用が期待されます。

  • 集積化容量型質量センサ

  • 振動型質量センサを集積化した例です。温度変化をモニタして補償する参照用センサと実際の質量を計測するセンサの2つからなります。静電駆動と容量検出用の電極が形成され作りこまれています。

  • 超高精度・小型原子時計



  • 単一細胞の質量分析のための組立式マイクロチューブ共振器


  • 小型赤外分光高度計

  • 工場、化学プラントなど、人間が作業する危険な場所で、ガス、ならびに温暖化ガスの放出をモニターするための分散型環境モニタリングシステムの研究を行っている。 このために必用な1cm角程度の大きさのフーリエ変換型の分光器や赤外線のリニアアレイセンサを開発している。小型化することで、たくさんのセンサを環境に配置し、環境モニタリングに応用できる。

  • RF振動子およびナノメカニカルRF素子

  • 電子機器においては、クロック信号を発生するタイミング素子が広く用いられている。一般には水晶の振動子が用いられているが、 近年のモバイル端末やIoT機器への応用では、より小型のタイミングデバイスが必要とされている。 このため、高いQ値および低い機械抵抗をもつSiのRF振動子を開発し、高い温度安定性をもつ発振子の実現に向けた研究を進めている。

  • SPM記録のためのXYZマイクロステージ

  • 走査型プローブ顕微鏡のアレイを利用した高密度記録システムを開発しています。ナノスケールの記録・読み出しができる複数のプローブを並列に動作させ、トタールとしての記録・読み出しを高速におこないます。 このシステムで、記録位置を精密に位置決めする高精度のXYZステージは重要な役割を果たします。これまでに、PZTを加工して精密・ネXYZステージを試作しました。

  • マルチプローブによる高密度記録

  • 走査型プローブ顕微鏡のアレイを利用した高密度記録システムに用いるマルチプローブを試作しました。また、導電性ポリマーを用いて導電性変化によりリライタブル記録が出来ることを示しました。

  • カーボンナノチューブエミッタ 並列カラム

  • 将来のマスクレスの高速リソグラフィーのための電子源アレイを試作しています。電子源アレイは、ゲート付エミッタと3枚の電極で構成される電界レンズから構成され・Aエミッタから放出された低エネルギー電子線を収束できる構造を持ちます。個々の電子源にカーボンナノチューブを成長する技術の開発に取り組んでいます。

  • 質量分析AFMプローブ・圧電薄膜アクチュエータ

  • 原子間力顕微鏡(AFM)で表面を原子分解能で観察するとともに、分子を拾い飛行時間型質量分析器に飛ばして質量分析するためのAFM用のプローブを開発した。 プローブで原子・分子をハンドリングし、電界放出電極まで移送するための、静電式、圧電式薄膜アクチュエータについての研究も行った。

  • ナノ振動子のナノメカニクス
  • ナノ構造体からなるナノ振動子の応用技術とともにそのナノメカニクスの研究を進めている。 振動子は、振動エネルギーを蓄積することで、外部からのわずかなエネルギーをため込み、高感度に外部との相互作用を増幅することで高感度に力、質量、熱、などを検出する。 しかし、熱によるわずかな熱機械振動があり、これがセンサとしての分解能を決めている。熱ノイズは共振が鋭い(Q値が高い)ほど大きくなり、高感度化できる。 一方、ナノメカニクスにおいては、その表面の欠陥が、振動エネルギーの損失をもたらす。研究室では、このQ値や材料、表面の欠陥などに関する基礎研究を進めている。 また、ナノ構造に強くみられる現象として、機械的な非線形性が挙げられる。振幅を大きくするにしたがって共振周波数が変化する。 バネが柔らかくなるソフトスプリング効果とバネが硬くなるハードスプリング効果の両方が見られ、それは材料や表面状態などに依存する。この非線形を積極的に利用することで、機械振動子における確率共鳴現象を起こしたり、振動子を機械的に強く結合し、周波数変換したりすることが可能になる。 一方、Q値自体も振幅によって変化する非線形ダンピング現象がナノ構造によって観測されている。

  • ウェアラブル熱電変換素子の開発


  • ナノメートルの流路を用いた熱発電蓄電素子の開発


  • ナノ材料開発

  • 銅とカーボンナノチューブのコンポジット材料の電子顕微鏡写真
    将来のセンサやマイクロ・ナノシステムに応用するための各種ナノ材料、および気相化学堆積法(CVD)などの成膜装置の開発を行っています。 カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェンの選択成長、金属とカーボンナノチューブ(CNT: Carbon nanotube)の複合材料、ナノダイヤモンドなどを開発してマイク・鴻Vステムへの応用を進めています。 これまでに、Siの先端にカーボンナノチューブを選択的に成長する技術や、電気メッキで金属CNTの複合材料を形成する技術などを開発しています。 また、各種2次元材料の成長技術の開発も行っています。

  • 光音響型非侵襲グルコース検知装置


  • マイクロ熱電発電
  • 多くの機器からは、そのエネルギーの大半を熱として放出しており、もし、熱エネルギーの一部でも回収して電気エネルギーに変換できると膨大なエネルギーの節約につながる。 また、人の健康モニタリングのためのボディエリアネットワークに必要な小型で高効率な熱電発電が必要とされてる。 研究室では、加熱した電極から熱電子が出ることを利用した熱電子放出を利用したマイクロ熱電子発電を研究している。 電子を放出するエミッタ電極と受け取るコレクタ電極間のギャップをマイクロメートル程度と小さくすることで発電効率を高める研究を進めている。 また、ボディエリアネットワークに用いる小型で高効率、フレキシブルな熱電発電の研究を行っている。このための熱電発電材料の堆積技術の研究も進めている。

  • ナノ計測のためのマイクロプローブ

  • ナノテクノロジー、ナノサイエンスにおける重要なツールであるさまざまな走査型顕微鏡用のプローブを開発しています。 近接場光プローブは光をナノスケールに局在させ、高分解能で試料を観察するために開発しました。 4探針プローブは、4つの探針からなり、静電アクチュエータで個々の探針を動かし、表面やナノ材料の導電性を評価できます。 耐摩耗性に優れたダイヤモンドプローブアレイはナノリソグラフィーのための道具として用いることができます。

  • 二硫化モリブデンを用いたピエゾ抵抗ひずみセンサ



  • ヘルスケア・マイクロセンサ
  • 体内の化学成分を分析し、日常の生活習慣病などの予測を行うための種々の小型ヘルスケア装置を開発してる。 このための各種高感度・高機能センサ(ナノメカニカルセンサ、赤外分光センサ、熱量センサ)を開発している。 ナノメカニカルセンサでは、ターゲット分子がナノメカニカル構造に吸着することで発生する応力や質量変化を検知します。 また、赤外分光センサでは、分子の固有振動を同じ周波数の赤外が吸収されるのを分光学的に検出し、熱量センサでは、ターゲット分子の酵素反応熱を検出して分子を同定します。 開発したセンサをシステム化し、実際の人体計測で実証し実用化することを目指しています。



(連絡先) 東北大学大学院工学研究科 機械機能創成専攻 小野/戸田研究室 
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